医療法人生寿会 覚王山内科・在宅クリニック

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糖尿病の今を知る

覚王山内科・在宅クリニック若見 和子

総合内科専門医(日本内科学会)
糖尿病専門医(日本糖尿病学会)
緩和医療認定医(日本緩和医療学会)
他所属学会:日本内分泌学会、日本在宅医療連合学会

健康への関心が高まりつつある昨今、“糖質オフ”をアピールする商品を見かける機会が多くなりました。糖質を取り過ぎると血糖値が上昇し、インスリン分泌によって体内のブドウ糖が脂肪に変化し蓄積され、糖尿病を発症します。日本で年々患者が増えている糖尿病は、2016年の「国民健康・栄養調査」にて、予備軍も含めて合わせて約2000万人の患者がいると推計され、生活習慣病の一つとして知名度の高い病気となっています。また糖尿病には多くの合併症があり、早期発見がとても重要です。糖尿病予防に必要なことや治療内容について、糖尿病を専門とし、豊富な診療経験をもつ当院の若見医師が詳しくお話しします。

糖尿病とはどんな病気ですか?

1型糖尿病は、インスリン投与が主な治療になりますが、2型糖尿病ではまず運動と食事の指導をします。1日30分以上・週に3日の運動と、適正な食事療法で、劇的な改善が得られることがあります。生活習慣の改善だけでは難しそうな場合、状態や生活に合わせて、血糖を下げる内服薬、GLP-1受容体作動薬という種類の注射や内服薬、さらにはインスリン注射と、段階的に治療を組み合わせて行います。新しい治療薬が出た場合にはできるだけ早く取り入れ、希望する患者さんに提供できるよう努めています。糖尿病の治療には、生活習慣の改善と適切な薬の投与、経過を見ていくための定期的な通院が重要になります。

診察室は清潔で落ち着いた雰囲気になるよう心がけています
糖尿病になる原因と症状を教えてください。

糖尿病には、インスリンが出なくなってしまう1型糖尿病、遺伝と生活習慣が主な原因の2型糖尿病、その他に膵臓の病気やホルモン異常、妊娠などによる糖尿病がありますが、その中でも患者数が多いのが2型糖尿病です。そして、糖尿病の大きな要因となるのが「肥満」です。内臓脂肪からはインスリンを効きづらくする物質が分泌されるため、肥満により内臓脂肪が増えると血糖値が上がってしまうのです。肥満の目安としては体重(kg)を身長(m)の2乗で割った数値であるBMI値を確認しておくとよいでしょう。22を標準とし、25を超えていれば肥満とされます。糖尿病の自覚症状には、「喉が渇く」「尿の回数が増える」「肥満気味だったのが急激に痩せる」などがあります。初期症状があまりない病気なので、健診の再検査で受診されて病気がわかる方が多いです。

患者さま一人ひとりに合わせた診療を行っています
「糖尿病かも」と思ったら、どのように調べればよいですか?

糖尿病は尿と血液の検査で調べることができます。まずはご自身が糖尿病になっているのか、予備軍の段階なのかを医療機関で調べてみるといいでしょう。当院では、基本的には問診、診察、尿検査と血液検査を行い、必要であればレントゲンや心電図なども行います。問診ではアルコールや喫煙習慣、運動習慣をはじめ、職業や食生活に関することなど、生活面について細かくお伺いします。また、通常の採血では血糖値が高くなくても、食事をした時にだけ血糖値が上がる「食後高血糖」が見られることもありますので、さらに詳しく検査をする方法として糖負荷試験を実施することもあります。糖負荷試験とは、空腹時に甘いジュースを飲んでいただき、その後30分、60分、120分のタイミングで血糖値の上昇具合を調べるものです。

当院では糖尿病に関するさまざまな検査機器を備えています
糖尿病治療とはどんなものですか?

1型糖尿病ではインスリン投与の治療が主になりますが、2型糖尿病でははじめに運動と食事の指導をします。生活習慣を整えたうえで改善がみられない場合には、状態に合わせて血糖を下げる薬を処方し、インスリン投与をするなど段階的な治療を行います。分泌されるインスリンの量によって治療法をご相談することとなりますが、ある程度の量が分泌されていれば、生活習慣の改善のみで治療を行うこともできます。当院では、約1割弱の方は食事と運動だけで血糖値をコントロールされていて、週に3日、30分以上の運動と管理栄養士の指導を受けながらの食事療法を続けていらっしゃいます。いずれにしても糖尿病という病気は、生活習慣と定期的な通院が重要になります。

血糖値の検査では、患者さまの負担が少ない方法を導入しています
覚王山内科・在宅クリニックの診療の特徴を教えてください。

当院は、糖尿病・内分泌内科や循環器内科をはじめとした内科の外来診療と、24時間対応の訪問診療を行うクリニックです。訪問診療はあらかじめご契約いただいた方を対象にしていますので、お気軽にご相談ください。また、当院はさまざまな診療科を備える「かわな病院」と同じ医療グループの一員であるため、万が一合併症が進んでも連携医療機関でのサポートをご提供することができ、安心して治療に専念していただけます。訪問診療では、「体が弱って通院が難しいので往診してほしい」といったニーズにお応えし、介護を担うご家族へのサポートも行っています。また、糖尿病、高血圧、心臓病などの慢性的な病気に加え、つらい症状のための緩和ケアにも対応しています。

待合室では感染症対策を徹底し、安心してお過ごしいただける環境を整えています

近年、薬の改良により糖尿病治療の選択の幅は大きく広がっています。インスリンがある程度分泌できている場合は、注射か内服薬かの治療法を選ぶことができ、インスリン注射に関しても週一回の投与でよいというケースもあります。またインスリンにもさまざまな種類があり、毎日の生活の中で継続可能な打ち方を患者さんとご相談しています。治療の補助として、腕に小さなパッチをつけて血糖値を24時間測定する測定器も導入しています。こちらはスマホのアプリケーションと連携が可能なため、ご自身で血糖値の管理・把握をしたい方にお勧めしています。当院では治療の中断を避けるため、患者さんができるだけ通院を継続できるようあらゆる工夫を行っています。患者さま一人ひとりに合わせた治療を心がけておりますので、お気軽にご相談ください。

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